(仮)愛人契約はじめました

「金を払わせろ」
「いやです」

「なにかお前のために金を使わせろ。
 マンションを買ってやろうか」

「しょぼいアパートで満足してるんで」

 狭くて掃除が楽なんです、と唯由は言った。

「今、狭小な部屋のありがたみを噛み締めているところです。
 邪魔しないでください」

 だが、蓮太郎は、
「そんなボロいアパートに若い娘が住むなんて物騒じゃないか」
と眉をひそめる。

 いや、しょぼいで、ボロいじゃないんですけど……。

 きっとこの人の頭の中では、うちのアパートは倒壊寸前で鍵も壊れてる感じなんだろうなと思う。

 そもそも、うちの会社、結構いい会社なんで、そんな幽霊の出そうなアパートにしか住めないはずもないのだが……。

「お前の親兄弟はどうしてるんだ?」

 どうして、そっちに身を寄せないんだ、と蓮太郎は言い出す。