(仮)愛人契約はじめました

 だが、蓮太郎はただ、見たまま思ったままを言っているだけのようで。

 可愛いとか言いながらも、そこには、なんの感慨もないようだった。

 おそらく彼にとってのその一言は、
「このテーブルの上、片付いてるな」
というのと変わりない。

 まだ手を握ったまま、いろいろと考えていたらしい蓮太郎が重々しく言ってきた。

「キスとかしてみるか」

 い、いやいやっ、と唯由は後退して逃げようとする。

「そっ、それは恋人でもすると思いますねっ」

「では、愛人しかしないこととはなんだ?」

「……愛人しかしないことはわかりませんが。
 愛人だとしないことはなんとなくわかります。

 ずっと一緒にいて、つきあってても、将来、結婚しないとかなんじゃないですかね?」

「それは不誠実だな」
と言う蓮太郎に、

 この人、愛人作るのに向いてないな、と唯由は思う。

 見た目ワンマンな王様なのに、なにか何処かが誠実そうだ。