(仮)愛人契約はじめました




 だが、お嬢様気質が抜けてないと言いながらも、家事労働にどっぷりハマっている唯由は、雪村家の晩餐に狂喜していた。

「この出汁、すごいです。
 ぜひ、作り方をっ。

 月子やお義母様に食べさせたいですっ」

「……俺にじゃなくてか」

「この水菓子ののってきたお盆、すごい職人技ですね。
 どちらでお求めになられましたっ?」
と唯由は雪村家の夕食を違う意味で満喫する。

「蓮太郎、面白いお嬢さんだの。
 お前と似合いのようだ。

 二度と現れないかもしれない、お前にとっての大事な『愛人』さんだ。
 大切にな」
と真伸が微笑む。

 大王も大王息子もそれを聞いて笑っていた。