階段を上がると、山に続く渡り廊下があった。 陸橋のような感じで、高さがあり、ちょっと怖い。 風も吹き付けてくる中、蓮太郎は少し先を歩いていた。 前を見たまま言ってくる。 「俺はお前と見合いなんてしない」 うっ。 「お前は、親が勝手に決めた政略結婚の相手なんかじゃない。 俺が選んだ愛人だ」 蓮太郎は足を止め、唯由を振り返ると、その手を握ってきた。 最初に強引に手を引いてきたときと同じようでちょっと違うと感じたのは、その力の強さのせいか。 自分を見つめる瞳のせいか。