(仮)愛人契約はじめました

「じゃあ、それ、恋人になりませんか?」

「いや、俺はそんなもの欲しくない。
 欲しいのは愛人だ。

 俺と背徳的な関係を結んでくれる女を俺は欲している」

 我欲背徳的関係女。
 という古典の教師に背後から蹴り上げられそうな怪しい漢文が頭に浮かんだ。

 唯由は混乱している。

 シャッター街を歩いていて、突然、モンスターに遭遇したくらい混乱している。

 だが、そんな唯由を前に、蓮太郎は淡々と状況を説明してくる。

「俺は不祥事を起こしたいんだ。

 俺のひいじいさんは女にだらしない男が大嫌いでな。

 うちは親族経営の会社なんだが。
 若い身内はどいつもこいつも問題を起こしてて。

 ひいじいさんは女性問題のない俺に会社を継がせようとしている。

 だが、俺がなりたいのは経営者じゃない。
 俺は研究員のままでいたいんだ」

 蓮形寺、と蓮太郎は唯由の両手を握ってきた。