(仮)愛人契約はじめました

 身を乗り出して一緒に見ていた道馬が身を起こして言う。

「いや~、すまんすまん。
 連絡先来てるじゃん、とからかってやめるつもりが。

 吸い込まれるように読んでしまった」
と勝手に見たことを詫びてくるが、その言葉は蓮太郎の耳を素通りしていた。

 実家の執事長である、直哉の父から送られてきていたメッセージを読み返す。

 『蓮形寺月子』との見合いだと書いてあった。

「何故、月子と俺が……。
 いや、その前に、なんであいつ、まず、直哉の漢字を――

 いや、それを言うなら、今朝、顔合わせた瞬間、ゴキブリのこと訊いてこなかったかっ!?」

 俺の見合いはゴキブリ以下かっ、と叫ぶ蓮太郎に、

「大変だねえ。
 珈琲飲む? 道馬くんも」
とコーヒーマシンの側から、のんびり紗江が訊いてきた。