(仮)愛人契約はじめました

「……言ってないな。
 そうか。
 じゃあ、何個でもいいのか」

 違うーっ! と唯由が絶叫しそうな結論にたどり着いたとき、
「蓮太郎」
と誰かが呼ぶ声がした。

 同期の道馬(みちば)だった。

「お前、今度、コンパ行かない?」

「いや、もう間に合ってる」

「……間に合ってるってなんだよ。
 さては、彼女ができたのか」

 意外だ、という顔で道馬は言う。

「いや、愛人ができた」

 道馬は沈黙したが、蓮太郎の謎発言に慣れている彼は、

「そうか……」
とだけ言った。

「そういえば、新入社員の蓮形寺さんって、蓮形寺家のお嬢さんらしいね」

 いきなり、唯由の名前を出されてどきりとする。