(仮)愛人契約はじめました

「ゴキブリが寂しいとかなんとか」

 唯由も適当にしか覚えていなかった。

「……ああそうだ。
 昨日、背中で語るゴキブリの話を紗江さんに聞かせられて……」

 唯由は続きの言葉があると思って待っていたようだが、特になかった。

 蓮太郎の中では、説明はもう終わっていた。

「そ、そうなんですか。
 お疲れ様です~」

 行ってしまおうとする唯由に、つい、
「待て」
と言ってしまう。

 唯由はすぐに止まった。

 いや、用事は特にない、と蓮太郎は焦る。