(仮)愛人契約はじめました

「お疲れ様です~」
と少し離れた場所から唯由たちが微笑み言ってくる。

「お疲れ様」
と返した。

 そのまま彼女らは通用口から建物の中に入ろうとした。

 なんとなく見送っていると、一度中に入った唯由が出てきた。

 立ったまま夢を見ているような心地だ、と蓮太郎は思う。

 なんでだろうな?

 ああ、唯由がこっちに向かって可愛らしく走って来るからだ。

 来るといいなと思っていたらやって来るなんて。

 これは夢か。

 いや、俺が超能力者なのか。

 どちらがより現実的だろうかと真剣に考察していると、すぐ側まで来た唯由が自分を見上げ、訊いてきた。

「あの、ゴキブリがどうかしたんですか?」

「……ゴキブリ?」

 蓮太郎は昨日のショートメールの内容を忘れていた。