蓮形寺さんが通るまで、思わず待ってしまっていた。
これは恋だろうかな。
意外に近くに住んでいたのも運命かもしれないし。
今まさに恋をはじめようとしている男は、なんでも運命にしたがっていた。
唯由が言うところの『隣の席の人』は赤信号で止まり、唯由が歩いているであろう方角を振り返る。
だが、建物の陰になっていて、唯由がいる道は全然見えなかった。
信号が変わってしばらく走り、いつも抜けるちょっと狭い道を走っていると、後ろから丸っこい感じのパステルカラーの外車が来た。
できるだけ端に寄っていたのだが、かなりギリギリを攻めてくる車だったので、よろけてしまう。
側溝に蓋がなく、体勢を斜めにしてようやく足をついた。
そのせいで、壁に肩とハンドルがぶつかる。
すると、その車が止まり、運転手が窓からこちらを覗いて叫んだ。
「気をつけなさいよっ」
いや、それ、俺のセリフ……と思ったとき、その車はもう走り去っていた。



