(仮)愛人契約はじめました

 


 出勤時間になり、唯由は機嫌良く玄関を出ようとしたが。

 ドアを開けた唯由の目の前に、何故か、すっきりと整った顔立ちのスーツ姿の男が立っていた。

 思わず、ドアを閉める。

 なんだろう。
 部屋をお間違えなのだろうか……?

 だが、このままでは遅刻してしまう。

 そう思った唯由は、そろっとドアを開けてみた。

 危険はないだろうと思われたからだ。

 男は身なりもきちんとしていて品が良く、おかしな人には見えなかった。

 まあ、人の部屋の前で無言で立っている時点でおかしな人なのかもしれないが。

 ドアの外に、まだその人はいた。

「あのー」
と唯由が言いかけたとき、彼は優雅に一礼し、言ってきた。

「初めまして。
 蓮形寺唯由様」