(仮)愛人契約はじめました

「たまにはお帰りください。
 ちょうどいいお見合いのお話が来ております。

 此処で身を固めて、真伸(まさのぶ)様への印象を良くし、次の集まりで後継者として……」

 続きは読まずに電話する。

 真伸は曽祖父の名だ。

「見合いはしない」

「お写真だけでもどうですか」

 実にお美しい方ですよ、と執事は食い下がってくる。

「愛人を見つけたんだ。
 見合いはしない」

「愛人なら結婚に支障ないではないですか。
 って、愛人は駄目ですよ、愛人はっ。

 真伸様の心証が悪くなりますっ、という執事の慌てた口調に、

 やはり、俺の計画に間違いはなかった、とほくそ笑みながら、電話を切る。