町へ着くと周囲の視線を感じる。
これは、私が不幸を呼ぶから警戒の眼差しだ。
なんで来たんだとでも言うような冷たい視線。
最初は辛かったけどもう慣れた。
悲しんだって私が不幸を呼ぶ以上、この現実は変わらない。
私が生きている限り永遠に。
私はいつものようにトドという名のおじいさんのところへ向かう。
トドおじさんは、10年前の事件の時に倒れていた私を拾ってくれた優しい人。
そして、母の最後を看取った人だ。
「そろそろ来る頃だと思ったから用意しておいたよ。
はい。いつものね。」
「いつもありがとう。」
「お礼言われるようなことはしておらんよ。
それにしても今日は人連れてどうしたんだい?」
「アラン・クラークだ。
訳あって一緒に行動させてもらってる。」
「正確には勝手についてきたの。」
私がトドおじさんに聞かれたのに、アランは自分が聞かれたかのように答える。
どさくさに紛れてデタラメを言いそうだったから、私が一言付け足す。
「おい、今はそれ言わなくていいだろ。」
「何、本当のことじゃない。」
「はははっ!
ルチア様が誰かと言い合っているなんて珍しい。
よっぽど、気が許せる相手なんだな。」
それまで黙って私たちの話を聞いていたトドおじさんが声をあげて笑う。
いつも周りが穏やかになるような笑顔だが、こんなにも大きな声で笑うところは初めて見た。
すごく楽しそうに笑うんだな。
「トドおじさん、また。
これで失礼します。」
一言伝えてその場を離れた。
だから、アランが立ち止まっていたことも。
「なぁ、あんた本当にここで商売やってる人か?」
「そうだが…。」
「なら、いい。
俺の勘違いだ。顔見知りにちょっと似ていてな。」
そんなアランとトドおじさんの会話も知らなかった。
これは、私が不幸を呼ぶから警戒の眼差しだ。
なんで来たんだとでも言うような冷たい視線。
最初は辛かったけどもう慣れた。
悲しんだって私が不幸を呼ぶ以上、この現実は変わらない。
私が生きている限り永遠に。
私はいつものようにトドという名のおじいさんのところへ向かう。
トドおじさんは、10年前の事件の時に倒れていた私を拾ってくれた優しい人。
そして、母の最後を看取った人だ。
「そろそろ来る頃だと思ったから用意しておいたよ。
はい。いつものね。」
「いつもありがとう。」
「お礼言われるようなことはしておらんよ。
それにしても今日は人連れてどうしたんだい?」
「アラン・クラークだ。
訳あって一緒に行動させてもらってる。」
「正確には勝手についてきたの。」
私がトドおじさんに聞かれたのに、アランは自分が聞かれたかのように答える。
どさくさに紛れてデタラメを言いそうだったから、私が一言付け足す。
「おい、今はそれ言わなくていいだろ。」
「何、本当のことじゃない。」
「はははっ!
ルチア様が誰かと言い合っているなんて珍しい。
よっぽど、気が許せる相手なんだな。」
それまで黙って私たちの話を聞いていたトドおじさんが声をあげて笑う。
いつも周りが穏やかになるような笑顔だが、こんなにも大きな声で笑うところは初めて見た。
すごく楽しそうに笑うんだな。
「トドおじさん、また。
これで失礼します。」
一言伝えてその場を離れた。
だから、アランが立ち止まっていたことも。
「なぁ、あんた本当にここで商売やってる人か?」
「そうだが…。」
「なら、いい。
俺の勘違いだ。顔見知りにちょっと似ていてな。」
そんなアランとトドおじさんの会話も知らなかった。



