昔、お前と全く同じことを言った女の子がいたんだ。


その子は、弱くて泣き虫だった俺を助けてくれて、進むべき道まで広げてくれた。」



「強くて、優しい女の子だったのね。」



私は、その子と逆。


私の…進むべき道に未来はなく真っ暗だから。



「その子を尊敬して今がある。」



「そういえば、ジェラルドが言ってたわね。
その子が初恋なの?」



前に、ジェラルドが

―「初恋の女しか興味のなかったお前が、ルチアに興味を持っているから気になった。」―


と言っていたのを思い出した。



「まぁ、そうだな。」



「その子は今どこに?」



「15年前のデスラスト王国襲撃事件に巻き込まれて…。」


静かに首を横に振る。


その先は言わなくても察してしまった。


15年前は母が亡くなった日。
それしか私は覚えていない。


襲撃事件がどれほどのものだったかも、後で調べる必要がある。


「余計なことを聞いちゃったわね。」


「いいんだ。
その子も王国も全て守ると約束したけど、俺は守れなかった。

もう約束は破らない。今度こそ全員守ってみせる。」


先程までの暗い表情はなく、力強い意思が伝わってきた。


「あんたならできると思うわよ。」



これは、冗談ではなく本当。


彼なら、光に満ち溢れたクリスタル王国を守れる。



「ルチアに言われたら、余計にできる気がした。」