「私、鍵かけたはずだけど。」
「あぁ、そういえば玩具のような鍵かかっていたな。
俺からしたら、鍵のうちに入らない。
こんなの直ぐに開けられる。」
「自慢話?に興味ないけど、やっていることは犯罪なんだけど。
しかも、部屋には来るなって言ったはず。」
ドヤ顔で犯罪まがいなことしていることに、内心困惑している。
彼の様子だと、鍵を開けるのは日常茶飯事のように感じる。
「まぁ、そう言うな。
来るなと嫌がられたら、来て欲しいのだと普通思うだろう?」
「その普通はあんただけだから。」
「その話は置いといて。
早く来い。時間が無い。」
なんか、アラン以上に苦手かも。
私のペースを簡単に崩し、自分のペースに書き換える。
「ちょっと!どこ行く気?」
「だから、いい所だ。」
連れてこられたのは、明らかに引っかかるはずがないだろうという仕掛けのある廊下だ。
私たちは、仕掛けの先の部屋に入り、ドアから覗く。
廊下の絨毯に少し膨らみがあってそれを踏んでしまうと上からはちみつが落ちてくる仕掛けになっているらしい。
夜中にこそこそとしていた理由が、今わかった。
「これ、引っかかる人が来るまで待っているつもり?
分かりやす過ぎて、1日無駄になる気がするんだけど。」
「いや、すぐかかる奴が来るさ。
静かに。来た!」
私は、ここまで来たなら少し興味がある。
しゃがんで、下の方から覗くと朝から口笛を吹いてご機嫌な男性が来る。
背丈はそんなに高くない方で、髪の毛は艶がありシャツにはシワひとつない。
彼は、罠に気づかず近づいてくる。
まさか引っかからないだろう……って思ってた。
思っていたけど。



