要塞のような城を脱出して、数時間。



一緒に来てくれる騎士の中に感知の魔力を持っていて、バルトラの魔力を掴んでくれていた。





間違いなくクリスタル王国王都にいるらしい。





どうにか間に合ってほしいと今は願うことしか出来なくて、悔しい気持ちでいっぱいになる。





「ルチア様!

一瞬にしてバルトラ様の魔力が王都から北東の位置へ移動されました!」




「その魔力を追い続けて。」




……王都から北東の位置って、まさかね……。




悪い予感は高確率で当たる。




バルトラの魔力は、母が亡くなったアルラーナ村だった。




嫌な思い出しかないけど、今のアルラーナはただただあたり一面を覆う野原。




人々が密集している王都よりいい。




「みんな、ここから先は死闘になる。

私が全力であんた達を守る。
でも、最後に…覚悟はいい?」




「はい!」





誰も嫌がる人はいなくて、私を信じてくれて、その期待に応えたいと心に誓う。




…大丈夫。
あたしの魔力とムーンストーンの魔力が温存できた。





ここで全てを終わらせる。