ルミナス～双子の王女と7人の騎士団長～

買い物をして家へ戻ろうとした帰り道。

事件は起こった。


｢きゃぁぁぁぁぁっ！｣

―ガシャンガシャン―


甲高い悲鳴と同時に何かが壊れた音が響いた。


「ルチア？」


嫌な予感がした私は、音がした方向へ走って向かう。
アランが私を呼ぶ声も無視して。


向かった先では小さな男の子が、野菜を売っている屋台の下敷きになっていた。


｢.........っ。｣


また…だ。
また、私のせいで...っ！


｢おい！ルチア手伝え！
俺がこの屋台を持ちあげるから子供を引っ張れ。｣


｢う、うん！｣



私は、彼の声にハッとする。
小さな男の子は、1人では歩けない程の怪我をしていた。


今は、まだ太陽が昇っているけど少しなら。


｢MOONSHINE―ムーンシャイン―｣


両手を胸に当てて光を集めて、その光を男の子の足に当てる。


｢なんでお前が魔法石を…？｣


｢ムーンストーンよ。たまたま拾ったの。｣


彼が驚くのに無理はない。
本来魔法石は7つしか存在しないから。


私の持っている月の石ムーンストーンと、まだ見つかっていない太陽の石ペリドットは7つの魔法石よりも貴重なもの。


私の石は月の光で傷を癒す力。
大切な人を守りたいと強く願う想いが通じて現れた。


実際、私の存在自体が不幸にするからこの力は無意味だった。
本当に大切な人を守ることができない。