「なんだ朱雀。はやく要件を言え」


なぜか紅蓮はむすっとした顔で朱雀にあたった。

何を怒っているんだか。


「はい。紅蓮様。天界との国境で問題が発生したようで」

「大きな戦になりそうか」

「いえ。小さな小競り合いなのですが。魔后殿下が魔界の威厳を保つために紅蓮様に出向いてほしいようで」


そうよね。紅蓮は魔界の戦神だもの。

天界・魔界の者はそれぞれの世界で神籍が与えられているのだ。皇太子でありながら神籍まで与えられている紅蓮は相当の腕だと言える。

紅蓮は少し考えた後、ため息をついて立ち上がった。


「小競り合いなら私が行く必要はないが…母上が言うなら従うしかないな。」


そして真剣な面持ちで朱雀と出て行った。

私はというとお茶を片付けて自分の部屋へ戻ろうとしていた。