「よいでしょう。本日は新夜祭。皇太子が侍女を選ぶ日です。好きになさい。」
「感謝します。母上」
え、まさか、私って本当に侍女になるの!?
父上はまだ何か皇太子に言いたそうだったが、下がるように言われ八咫烏一族は魔宮から去ることになった。
「お嬢様!皇太子殿下の侍女ですよ!!」
「…夢?」
魔宮を出て魔都を通りいつの間にか一族の屋敷についていた。
状況についていけず部屋でわいわいと話しかけてくる明明に聞くと、頬をつねられる。
「いたたたっ!明明」
「夢じゃないです!ほんとに選ばれたんです!お嬢様が!!」
「ほんとに!?」
「なんで他人事なんですか!」
ほんとなんだ。虹彩樹の庭での出来事も先ほどの魔宮での出来事も。


