天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~




「構わぬ!捕らえよ!!」


ひと際、目立つ女子が衛兵に命令した。


どうしよう!父上もこの数を術で抑えるのも限界だ。


私も術を使おうとしたその時、声がした。


「やめよ!!」


衛兵が一斉に動きを止めた。ふらつく父を支え声のした方を見ると。


「…あなたは…」


「また、あったな白蘭」


虹彩樹の庭で会った男が立っていた。


「ですが紅蓮様!刺客やもしれません」

「玲心(れいしん)いつから朱雀軍はそなたのものになったのだ。朱雀軍は我が軍だ。わきまえよ」


玲心と呼ばれた女子が黙り込む。