「失礼な奴だな。友はいる。悩みといえば…私の生きる道がすでに決まっていることだ。複雑な事情があるのだが許婚も幼いころから決まっている」
「ふーん。そんなこと」
「そんなこととはなんだ」
「だって、嫌なら自分で決めればいいだけよ。私だったら嫌なことは嫌というし、許婚だって自分が好きになった人じゃないと嫌よ。」
「...」
男は黙って私の瞳を見つめて話を聞いていた。
「自分の生きる道だもの後悔は自分で決めたことでしたほうが得よ」
言い終わっても男は黙ったまま見つめていた。
「ちょっと聞いてた?」
「ああ。確かにその通りだな。まさか、この私が女子に悩み相談することになるとはな」
虹彩の花を持ち、笑う男はとても美しかった。
「ふむ。もういかねばならない。最後に質問に答えてくれ。名を知りたい。」
「…八咫烏一族の白蘭よ」
「白蘭…そうか覚えておく。ではな」


