天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~



「失礼な奴だな。友はいる。悩みといえば…私の生きる道がすでに決まっていることだ。複雑な事情があるのだが許婚も幼いころから決まっている」


「ふーん。そんなこと」


「そんなこととはなんだ」


「だって、嫌なら自分で決めればいいだけよ。私だったら嫌なことは嫌というし、許婚だって自分が好きになった人じゃないと嫌よ。」


「...」


男は黙って私の瞳を見つめて話を聞いていた。


「自分の生きる道だもの後悔は自分で決めたことでしたほうが得よ」


言い終わっても男は黙ったまま見つめていた。



「ちょっと聞いてた?」


「ああ。確かにその通りだな。まさか、この私が女子に悩み相談することになるとはな」



虹彩の花を持ち、笑う男はとても美しかった。


「ふむ。もういかねばならない。最後に質問に答えてくれ。名を知りたい。」


「…八咫烏一族の白蘭よ」


「白蘭…そうか覚えておく。ではな」