「他にどこか行きたいところや、見たいところはないか?あの岩場にいこうか。それとも魔都を散策しようか」
毎回聞くが白蘭は口を噤んでしまう。
だが、今日は願いを口にした。
「…人間界が見たい」
紅蓮には禁足令が出されていた。魔界を出ればそれこそ大罪だ。
しかし白蘭の願いは叶えてやりたい。
しばらく考えて紅蓮は思いついた。
忘却湖に行こうと。忘却湖は魔宮の地下にある刑場だが、その場所は美しく湖には人間界が映る。
刑場だから誰も来ないことだろう。
「わかった。白蘭。行こう」
白蘭を抱いて魔宮の地下に向かった。
忘却湖の衛兵に止められたが、理由を話すと同情したのか通してもらえた。


