天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~



「他にどこか行きたいところや、見たいところはないか?あの岩場にいこうか。それとも魔都を散策しようか」


毎回聞くが白蘭は口を噤んでしまう。


だが、今日は願いを口にした。


「…人間界が見たい」


紅蓮には禁足令が出されていた。魔界を出ればそれこそ大罪だ。


しかし白蘭の願いは叶えてやりたい。


しばらく考えて紅蓮は思いついた。


忘却湖に行こうと。忘却湖は魔宮の地下にある刑場だが、その場所は美しく湖には人間界が映る。


刑場だから誰も来ないことだろう。


「わかった。白蘭。行こう」


白蘭を抱いて魔宮の地下に向かった。


忘却湖の衛兵に止められたが、理由を話すと同情したのか通してもらえた。