「…白蘭」 白蘭が気がついたようで目線が空中をさまよった後、私をとらえた。 その瞳は悲しみも恨みも、かつての喜びも無かった。 何を思っているのかわからない瞳で私をじっと見る。 「どうした?水が欲しいか?食べ物を用意させようか?なんでも叶えてやる」 「…」 白蘭は何も言わずに私の頬に流れる涙を手で拭った。 その手が弱々しく、もう死期が近いのだと感じた。 せめてこれ以上、悲しまず苦しまずに家族の元へ行って欲しい。