「...封印が破られている?」 父上は政務をこなしている頃だし、母上は新夜祭に出席している。 では、誰が? 慎重に庭に足を踏み入れる。 どんな刺客がいるかと思いきや目の前にいたのは、一人の美しい女子だった。 虹彩樹の花びらが降る中、花を愛でる姿はなんと美しいことか。 衣は素朴な色で派手な装飾は無く、髪に簪をさしているだけなのに女子がいる場所だけは天の光がさしているかのようだ。 「…そなた、名はなんという?」 声に気づいた娘はすぐに振り返った。