なんということだ。 私がいない間に白蘭がこのような姿に。 「…紅蓮。わたし…わたしね…」 「もう話すな。すぐに薬師神に治してもらおう。」 後ろから、重い足音が聞こえた。 幻覚獣だ。 爪には新しい血がついている。 喉を鳴らして牙を向く幻覚獣。 皇族に従う獣が、この私に牙を向くとは無礼な。 「命はとらぬ。失せよ!」 幻覚獣はすぐに紅蓮が皇族だと分かったのか自分の寝床で静かになった。