「うっ…」 玲心にやられた傷は致命傷でないにしろ軽くはなかった。 ここはどこなの? 傷の痛みに耐えながら立ち上がった。 周りを見ても暗く冷たい空気が漂うだけだった。 雪梨様にあれだけ玲心には気をつけろと言われていたのに、こんなところに閉じ込められてしまうなんて…。 目が段々、暗闇に慣れてきたとき奥で何かがうごめいているのが見えた。 「なに…あれは…」 私の声に気づきその生き物はこちらに気づいた。 鹿の頭に獅子の体。その巨体で、こちらに向かってくる。 「…幻覚獣」