天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~



はじめて頼み事をされたことにも驚いたが、それが義弟の婚姻とは…。


「氷輪。そなたは天界の皇太子だな」

「あ、はい兄上」

「皇太子は将来天帝の座につく。そうなれば婚姻は避けられない。今するか将来するかの二択なのだ」


氷輪を説得すると義母上は満足そうに笑った。


「そうです氷輪。そなたは将来天帝になる身なのです。早いうちに身を固め天界の者の支持を得ねば」


義母上も後押しする。


「兄上までそのようなことを。そもそも兄上に許婚がいないのがおかしいのです!なぜ弟の私が兄より先に婚姻しなければならないのです」

「私のことはいいのだ」

「いいえ。兄上の傍には人が少なすぎます!兎しかいない!母上、私よりも兄上の許婚を決めてください!」


私を思ってのことだろうが、父上と義母上には逆効果だ。