はじめて頼み事をされたことにも驚いたが、それが義弟の婚姻とは…。
「氷輪。そなたは天界の皇太子だな」
「あ、はい兄上」
「皇太子は将来天帝の座につく。そうなれば婚姻は避けられない。今するか将来するかの二択なのだ」
氷輪を説得すると義母上は満足そうに笑った。
「そうです氷輪。そなたは将来天帝になる身なのです。早いうちに身を固め天界の者の支持を得ねば」
義母上も後押しする。
「兄上までそのようなことを。そもそも兄上に許婚がいないのがおかしいのです!なぜ弟の私が兄より先に婚姻しなければならないのです」
「私のことはいいのだ」
「いいえ。兄上の傍には人が少なすぎます!兎しかいない!母上、私よりも兄上の許婚を決めてください!」
私を思ってのことだろうが、父上と義母上には逆効果だ。


