シュンヤは「わぁ!」と叫び声をあげて尻餅をついた。


マントの男は右手に大きなカマを持っていて、顔は骸骨だ。


死神だ!


咄嗟に逃げ出そうとするが、立ち上がれなくてその場でじたばたともがく。


すると死神がシュンヤに近づいてきた。


「私になにか用か」


その声は診察室中にこだまして、シュンヤは両手で耳を塞いだ。


吐きそうに鳴るような不快な声。


シュンヤは逃げ出そうとするのをやめて、死神を見上げた。


死神には目玉がなかったが、それでもシュンヤをジッと見下ろしているのがわかった。


「お、俺の寿命が知りたい!」


シュンヤは勢いにまかせて言った。


死神はぐいーっとシュンヤに顔を近づけて、見つめてくる。


骸骨がシュンヤの頬に触れて、それはとても冷え切っていた。


「お前の名前は?」


骸骨が目の前でしゃべる。


呼吸器だってないはずなのに、腐敗臭のような嫌な匂いを吐きかけられた。


「シュ、シュンヤ……」


答えると死神はシュンヤからスッと身を離した。