そして、ようやくの思いで第3診察室と第5診察室の中間んである、なにもない壁の前到着していた。


待合室から奥まった場所にあるここには大きな窓から差し込む月明かりも届かず、少し異様な雰囲気を感じた。


軽く身震いをしてからシュンヤは目を閉じた。


目の奥に第4診察室を思い浮かべる。


できるだけリアルに、まるでそこに本当に第4診察室が存在しているかのように。


ユウキに言われたとおり、丁寧に丁寧に細部まで想像する。


幼い頃から入退院を繰り返してきたシュンヤにとって、それはとても簡単な作業だった。


そうして脳裏に完全な第4診察室が出来上がったころ、そろそろと目を開けた。


目の前の光景に息を飲み、「本当だったんだ」と、呟く。


シュンヤの目の前には第4診察室があったのだ。


ついさっきまでなかったはずのその診察室は、シュンヤが想像した通りの形をしている。