シュンヤは夢を見ていた。


自分は恐怖中学校のグラウンドにいて、男子生徒に混ざってサッカーボールを追いかけている。


試合時間は残り3分。


前半は0対0で引き分けていて、ここまで両者とも得点を入れられていなかった。


ほぼ互角の戦いだ。


「頑張れ!」


そんな声がして視線を向けると、グラウンドの隅でユナが大きく手を振って応援してくれている。


ユナにいいところを見せたい。


そう思ったシュンヤはドリブルしながら一気に相手リームのゴールへと攻め込んだ。


敵チームの連中はシュンヤの足について来ることができない。


相手チームのゴールが間近に迫り、シュンヤは思いっきりボールを蹴り込んだ。


ゴールキーパーが両手を広げるが、ボールはその隙間を縫うようにしてゴールネットへと吸い込まれていった。


同時に試合終了のホイッスルが鳴り響き、グラウンドに大きな歓声が湧き上がる。


仲間が駆け寄ってきてシュンヤの頭を痛いほどに叩いて祝福をふる。


グラウンドの真ん中まで移動して胴上げが始まる。


「シュンヤ! すごいよシュンヤ!」


ユナがかけてきてシュンヤに抱きつく。


シュンヤは華奢なユナの体を力いっぱい抱きしめたのだった。