「きょう……? んっ、きょう、」
んで、それを分かったうえで呑まれてる俺も、相当な馬鹿。
まだ酔いが残っているのかふわふわとした声しか上げられない鞠が、時折それに似つかわしくない濡れた吐息を漏らす。
「連れて帰ってやれ」とため息交じりなあすみの言葉で。
まだほかのメンツが残るたまり場をあとにし、鞠を家へと連れて帰ってきた。
幸い、歩けるのは歩けるみたいだし。
多少ふらついてたけど、帰宅に問題はないレベルだった。
で、帰ってきて、部屋に連れ込んで。
「……鞠」
指を絡めれば、鞠は満足そうに目を細める。
とっくに満たされているはずなのに、まだ足りない。
鞠が同じ気持ちでいてくれたら、それでいい。
……なんてそんなの、誰に対してでもないのに張ったただの意地で、実際は飽きそうなほど、枯渇してるってほどに、鞠から求められていたい。
前に進もうとしてた鞠と、進めなかった俺。
それを比べれば、その差があることは、わかりきってるけど。
「恭……?」
不自然に動きを止めたせいか、鞠が不思議そうに俺を見上げる。
さすがに4%の酔いも醒めたのか、鞠の瞳はいつもと同じように見えた。
「ん?」
「……どうかしたの?」
どうか、か。
……伝わるわけねーんだよな、隠したいほどの独占欲にまみれた俺の心情なんて。



