……まさかとは、思うけど。
「チカ、酒でも用意したんじゃねーだろうな?」
「し、してないよー!
あっでも、お酒の入ったチョコレートがあったような……」
その言葉を聞いて、さっきまで鞠のいた辺りを探る暖。
すぐに目的のものは見つかったようで、洒落たワインレッドの紙箱を裏返す。
「お~……確かに入ってんな」
「強ぇの?」
「ううん、4%」
……4%。
ンなのたかが知れてるだろ。と言いたいところだが、目の前の女は呑気にニコニコ笑ってる。つーことは、ありえねーぐらい酒に弱いな、コイツ。
念のためドリンク類も確認させたが、そこにあったのはノンアルコールのシャンメリーばっかりだった。
箱からなくなっていたチョコレートだって、わずか3つ。
「恭……?」
「お騒がせな女だな、お前は」
「……?」
左手の薬指を宝石で飾ったって、独り占め出来やしない。
もっともっと、俺のことだけしか、見えなくなりゃいいのに。
息が詰まるほど、ずっと。
……なんて、馬鹿みてーだよな、本当に。



