STRAY CAT Ⅱ




「程々にします」



言えば彼は「ほんとかなぁ」なんて言いつつ笑ってる。

……もう二度と叶うことはねーけど、ここに愛さんが加わった、眩しい"家族"の姿を見てみたかった。



鞠の両親も、それこそ俺らも。

お互いのことを想い合ってるようですれ違った。それがただの自己満足で何の意味もないってことを、もう痛いほどわかってる。



「じゃあ、そろそろ行くね」



「ああ、気をつけて。

恭くん、娘のことをよろしく頼んだよ」



「はい」



未だにぬいぐるみに目を輝かせてる蒔に、また遊びに来ると約束して。

鞠と家を出て向かうのは、藍華のたまり場。




「メリークリスマス鞠ちゃん!恭ちゃん!」



「……高校生でまだそんなに純粋に

クリスマス楽しめるヤツって存在するんだな」



入って一番に、サンタの格好をしたテンション高めのチカに迎えられた。

昨日は俺やあすみ、なずなのような予定がある組が来なかったけど、今日はそこそこのメンバーが揃ってる。



男ばっかだってのにわざわざ飾り付けもしたようで、どこから用意したのかツリーまで置かれていた。

……チカが指示して用意したんだろうな。



「メリークリスマス、チカくん。

これよかったら、チカくんへおすそ分け」



この場にも動じることなく、笑ってチカに小さなラッピング袋を渡す鞠。

中身は鞠が今朝焼いたクッキーだ。ほんとは蒔のおやつと、父親へのクリスマスプレゼントだけど。



「ちょっと余っちゃった」なんて鞠が困ったような顔をして言うから、

予定がなくて機嫌を損ねてそうなチカにプレゼントしてやったら?と俺が提案した。