昼間でも曇っているせいなのか、電気をつけていない部屋の中はかなり薄暗い。
またくちびるが触れそうになった時、恭が不意にぴたりと動きを止めて。それから視線だけで、じっとわたしを見下ろした。
「そういや、アレ着ねーの?」
「"アレ"?」
「朝俺が帰ってきた時に着てたやつ」
帰ってきた時に……ああ、アレ、ね。
昨日リカちゃんからプレゼントしてもらったそれは、やはり中身がルームウェアで。冬限定らしいもこもことしたそれは、肌触りも良くて暖かかった。
「……着てほしいの?」
かわいいものは好きだけど、妹がいるせいなのかわたし自身はどちらかといえばシックで大人っぽいものの方がよく身につけている。
だからこそ、自分では選ばないプレゼントが嬉しかったから、早速昨日お風呂上がりに着てみたのだけれど。
「いや、着てほしいっつーか、」
「……うん?」
「………」
言葉を濁すみたいに、なぜか黙り込む恭。
不自然なその挙動を窺っていれば、彼は「だから、」と言い訳するように口を開く。
「俺が先に見たかったのに」
「っ……」
拗ねるような口振りで彼の言いたいことを理解して、かあっと全身が熱くなった。
それはつまり、今朝わたしの元へ来てくれた、暖くんへのやきもちですか……?



