「ああ、中学で思い出した。
みちるさんが、冬休み中に藍華に顔出しに来るってよ」
「春野先生、恭のこと大好きだもんね……」
「俺は別に好きじゃねーけど」
って言いながら、なんだかんだ連絡を欠かさず取っているのも知ってる。
恭やわたしのように、ほかの先生たちから叱られる立場にある生徒でも、春野先生は変わらず優しく接してくれていた。……まあ、養護教諭の時はだいぶ取り繕った性格みたいだけど。
「"知ってたのに教えなくて悪かった"っつってた」
「、」
別に、春野先生が謝ることじゃない。
むしろ養護教諭として生徒の個人情報を他人に話すわけにいかないのは当然のことだし、それでも尚、わたしと恭のために動いてくれようとしたんだろう。
「……今度お礼言わなきゃ」
「言わなくて大丈夫だろ。こないだ会ったし」
「え、いつ?」
「ちょっと前にお前が合コン行こうとしてた時?」
ちょっ、その発言は誤解招く……!
いや、誤解じゃないけど、うん、たしかに間違ってないけど、リカちゃんもびっくりしてるし……!
「ちょいちょいお嬢さん?
今の話は聞き逃せねえな~?」
「っ、ともだちに誘われたの!
結局行ってないから誤解だもの……!」