……律儀だな。
明日もまたどうせ会うんだし、今日も似たようなことを言ってたのに。わざわざメッセージを送ってくるところが紗七らしいというか、なんというか。
それぞれに返信して、鞠に『はやく会いてーな』と追ってメッセージを送れば、すぐに既読がついて『会いたい』『寂しい』としょんぼりしたスタンプが送られてきた。
それですらすげー可愛くて、誰もいないのをいいことに口角が上がる。
顔が見えないからなのか、メッセージでのやり取りは幾分か素直な鞠。
飯を終えてから電話する?と聞いたら、今度はニコニコしたスタンプが送られてくる。
とんでもなくかわいい俺の彼女。……いや婚約者。
付き合ってから俺の惚れ込み具合が増しているのは事実だが、鞠が明らかに可愛くなってるせいだと思う。
『もしもし、恭?』
「ん。ちゃんと飯食った?」
『恭がそれ聞くの?』
くすくす、鞠が笑ってる。
帰り際よりも元気そうで、すこし安心した。
「お前が飯作ってくれるのに慣れてきたから、
ひとりで適当な飯食ってたらすげー寂しくなるわ」
『っ、またごはん作ってあげるね?』
「ん。いつもサンキュ」
自室の中にいるのか、鞠のまわりは静かだ。
何してたのかと問うてみれば、さっきまで蒔が宿題をやる横で、一緒に課題をやっていたらしい。
「相変わらずちゃんとやってんな」
くぁ、欠伸が漏れる。
学校に仕事に、という多忙なスケジュール。俺でさえそこそこ体力的にキツいんだから、鞠は余計に疲れると思う。



