STRAY CAT Ⅱ




……律儀だな。

明日もまたどうせ会うんだし、今日も似たようなことを言ってたのに。わざわざメッセージを送ってくるところが紗七らしいというか、なんというか。



それぞれに返信して、鞠に『はやく会いてーな』と追ってメッセージを送れば、すぐに既読がついて『会いたい』『寂しい』としょんぼりしたスタンプが送られてきた。

それですらすげー可愛くて、誰もいないのをいいことに口角が上がる。



顔が見えないからなのか、メッセージでのやり取りは幾分か素直な鞠。

飯を終えてから電話する?と聞いたら、今度はニコニコしたスタンプが送られてくる。



とんでもなくかわいい俺の彼女。……いや婚約者。

付き合ってから俺の惚れ込み具合が増しているのは事実だが、鞠が明らかに可愛くなってるせいだと思う。



『もしもし、恭?』



「ん。ちゃんと飯食った?」



『恭がそれ聞くの?』




くすくす、鞠が笑ってる。

帰り際よりも元気そうで、すこし安心した。



「お前が飯作ってくれるのに慣れてきたから、

ひとりで適当な飯食ってたらすげー寂しくなるわ」



『っ、またごはん作ってあげるね?』



「ん。いつもサンキュ」



自室の中にいるのか、鞠のまわりは静かだ。

何してたのかと問うてみれば、さっきまで蒔が宿題をやる横で、一緒に課題をやっていたらしい。



「相変わらずちゃんとやってんな」



くぁ、欠伸が漏れる。

学校に仕事に、という多忙なスケジュール。俺でさえそこそこ体力的にキツいんだから、鞠は余計に疲れると思う。