最近は仕事が忙しいこともあって、蒔はだいすきな恭に構ってもらえないのが寂しいらしい。

手を止めてペンを置き、蒔に向かって腕を広げる。



「おいで、蒔。お姉ちゃんとぎゅーしよ?」



「ぎゅーっ」



嬉しそうに抱きついてくる蒔。

恭が来ないことに対しては拗ねてるけど、わたしが泊まりに行くこともなくずっと家にいるのは嬉しいらしい。頭を撫でながら、ふと気づく。



「蒔……大きくなったわね」



「ほんとっ?」



小学校に入学した時よりも、明らかに大きくなってる。

もう12月だもんね。1年近く経てば、そりゃ大きくもなるか。




「そんな蒔に、いいお知らせです。

今日は大晦日で、日が変わったらお正月でしょ?だから今日はとくべつに、夜ふかしてもいいわよ」



普段なら、はやく寝なさいって言うけど。

今日くらいは、と告げたそれに、蒔は目をキラキラと輝かせる。



「よふかし!」



「うん。やりたいことがあるなら一緒にしよっか。

テレビ見たいとか、ゲームしたいとか、」



お父さんには、今日だけ大目に見てもらおう。

……年が明けたら、おめでとうだけ、恭に送っとこうかな。



「まき、あれやりたい!」



「あれ?」