「し…ぐれくん?」

男性の顔は時雨と瓜二つだった。

どういうこと?

私の頭の中は真っ白になった。


「俺は時雨じゃない。」

男性は私の気持ちを察してか、話し始めた。

「俺は時雨の双子の弟。華杉 梅雨(つゆ)。」

双子?時雨くんの弟?

「ど…うして…梅雨くんは…私をここに連れてきたの?」

私はここに来てからの疑問を聞いた。

「ん~。俺はただ時雨が気に入ってる君に興味が出ただけだよ。」

俺は?ってことは女性は他の理由があるの?

「私は白鷺 季春(しらさき きはる)。白鷺財閥の令嬢よ。私はね…あなたが憎くて憎くて仕方がないから。それだけ。」

女性は私の気持ちを知っているかのように教えてくれた。

憎い?会ったこともない人に憎まれてるの?

私はよく分からなくて無意識に首を傾けていた。

「…何も知らないのね。教えてあげるわ。私のこと。」

白鷺さんはゆっくり話し始めた。


「私ね。瑠斗さんの婚約者候補だったのよ。」


……え?瑠斗…さんの?


私は黙って白鷺さんの話を聞いた。