東京に戻って。
優大くんとなかなか会えない日が続いている。
たまにテレビをつけると、「シー・ファンキーズ」が出演しているテレビコマーシャル、音楽番組やバラエティー番組などで、優大くんと画面越しに会えたりはするけれど。
「……なんか、最近武岡さん、ますます来ないよねぇ」
「黒猫」のカウンター席で。
田谷さんがボヤく。
「つまんないなぁ。武岡さんに会いたいなぁ」
薫おじさんが笑って、
「田谷さん、まるで恋する乙女だね」
と茶化した。
「いやいや、本当にそうだよ。オレ、恋する乙女みたいな心境よ?」
田谷さんも冗談を言う。
ふたりの会話を聞いていたら、噴き出しそうになってしまう。
必死でこらえて、私は接客をしていた。
夕方になり、お客様が増えた。
女子高生三人組が窓際のボックス席で、宿題をしながらそれぞれジュースやアイスコーヒーを飲んでいる。
「『シー・ファンキーズ』って、今度新曲出すんでしょ?」
アイスコーヒーを飲んでいる女子高生が話し始めた。