「えっ?誕生日ですか?」

仕事帰り。

夜7時半。

私は優大くんと電話で話している。


『ふと思ったんです。深雪さんの誕生日っていつなのかなって』

誕生日がくることはもうあまり嬉しくないけれど、優大くんに気にしてもらえていることが、心の底から嬉しい。

ほんわかした気持ちになる。


「誕生日は、今度の土曜日です」



『えっ!?』


電話越しに驚きの大声を出されて、耳が少し痛い。



「あれ?どうしました?」


『どうしました、じゃないです。深雪さん、もっと早く教えてください』
優大くんが困っていることが伝わる。

知らせないとまずかったかな。


「あの、お祝いするような年齢でもないですし、その……」
慌てて言い訳をする。


『オレ、その日は仕事です……』

優大くんが残念そうな声で言う。


『オレだって、お祝いしたかったな』