……えっ?
私は固まってしまう。
武岡さん、やっぱり不機嫌だ!
なんで!?
武岡さんはしばらく私を見つめたあと、
「……すみません」
と呟いた。
「なんでだろう?こんなこと言うつもりは無かったのに」
そう言ってから、
「オレ、今日はめちゃくちゃ楽しみでした」
と俯いた。
「……私もです」
映画館のロビーに設置してあるソファーが見えたので、
「座りませんか?」
と、私は武岡さんに言う。
私達は隣同士に並んでソファーに座った。
「今日、楽しみだったから」
武岡さんが話し始める。
「小森さんがナンパされてて、本当はめちゃくちゃ嫌でした。さっきの、恋愛ものが嫌かって質問も、過去が見えた気がして……、その、……嫉妬、しました」
えっ!?
「あの、あの、あのっ」
また焦ってしまう。
そんな私を武岡さんは優しい目で見つめて、
「ごめんね」
と言った。