柔らかい中にしっかりと芯のある声で、美波さんが告げた。変じゃない、ともう一度念を押すように繰り返して、彼女は口角を上げる。


「私はユイちゃんの絵、すごく好きだな」

「ほんと?」

「うん。お友達はね、きっといい言葉が見つからなかったんだと思う。変って、いろんな意味があるんだよ。とっても便利な言葉なの。でも使い方を間違えると、嫌な気持ちになるでしょう?」


だからね、と彼女が諭すように微笑む。


「変って言われたら、心の中で『不思議』に変換するの。だって、どうして色が見えないのか、自分じゃ分からないもんね。不思議なの。分からないけど、きっと神様がくれた特別な目なんだよ」

「かみさま? どこにいるの?」

「神様はね、ここにいるよ。ユイちゃんのところに」


彼女の白い手が、小さい心臓を撫でるように胸元を押さえた。
触れたわけでも、触れられたわけでもない。だけれど、優しい温度に違いない、と確信したくなる手の平だった。


「スイミーも自分だけ黒かったけど、それがみんなの役に立った。特別なの。他の人と違うってことは、変なんじゃなくて、その人だけにできることがあるっていうことなんだよ」