びしりと人差し指をこちらに向け、タイガが僕を睨む。
先ほど「おまえ、上から目線でなまいきなんだよ!」と指摘を受けたので、しゃがみ込んで目線を合わせているのだけれど、それをいいことに、背後では別の子が僕の髪をヘアゴムで結んだり三つ編みしようとしたり、やりたい放題だ。
「わたるくん、もうちょっと頭下げてよお、やりにくい!」
「……何やってるの?」
「可愛くしてあげてるの!」
それなら僕ではなくて、髪の長い清の方が適任だと思う。とはいえ、彼女は彼女で他の子の相手をしているようだ。
諦めて床に胡坐をかく。甘んじて洗礼を受けることにした。
「おまえ、おれと勝負しろよ! それで、おれに勝ったらおまえのこと認めてやってもいいけど?」
「勝負?」
「そーだよ!」
勝負の内容までは考えていなかったのだろう。ええと、と視線をさまよわせたタイガが不意に目を見開く。近くの机で画用紙を広げていた少年二人に近付き、彼は高圧的に切り出した。
「なあ、ちょっとクレヨン貸して!」
「えー……いま使ってるんだけど」
「すぐ返すって!」
タイガの圧に押されたのか、二人はおずおずとクレヨンを差し出した。それを受け取ったタイガが戻ってくる。
「どっちがうまく絵かけるか勝負だぞ!」
「いいけど……テーマは?」
「は? テーマ? えーと」



