またこの二人の言い争いか、とやや辟易しつつ、そういえばタイガはそもそも「なないろ」に所属していなかったはずだと気が付いた。
一体どうして彼がここにいるのだろうか。そこまで考えたところで、純が耳打ちしてくる。
「タイガのやつ、お前に好きな子とられると思って『なないろ』に入ったんだと。最高に不純な動機だけど、小学生って感じで可愛いだろ」
「好きな子?」
「ばぁーか、ユイしかいないだろうが」
にやにやと心底愉快そうにしている彼も小学生男子と大差ないような気がする。
生憎、僕に小学生女子を愛でる趣味はないので、タイガには心配するなと伝えたいところではあるけれど、それすら阿呆らしい。
結局、歓迎会といっても別段変わったことはなかった。なし崩し的に雑談へと移行し、僕への質問を終えて満足した子は早々にフェードアウトだ。クレヨンやらクーピーやらを取り出して、絵を描きだしている。
「おれはおまえがここに入るの、認めてねーからな!」
「もうっ! タイガくん、いいかげんにしなよ! わたるお兄ちゃんのこと悪く言わないで!」



