強引な事の運び方には、相変わらず、との感想を抱かずにはいられない。なんといっても、この場の権限は全てサークル長の彼にあるのだ。
一斉に僕へと集まった視線が、急かすように輝いている。
「犬飼航、高二です。よろしく」
簡潔に述べて口を閉ざせば、脇腹を強めに肘で小突かれた。犯人は隣にいる男しかいない。
「おい、ありがとうは? リピートアフターミー、あ・り・が・と・う」
「…………えー、と、僕のために色々、ありがとう」
痛みのせいで若干途切れ途切れになった謝辞だったけれど、純は渋々納得したようだった。
静かになった彼とは対照的に、今度は正面から手が挙がる。
「はいはいしつもーん! わたるくんは何の虫が好きですか! おれはね、カブトムシ!」
「ユイもしつもん! わたるお兄ちゃん、好きな人いるの?」
虫は好きじゃないし、好きな人もいない。
しかし僕が答えるより先に、一人の少年が噛みつくように声を上げた。
「おい、ユイ! こいつの好きなやつなんて聞いてどうすんだよ!」
「タイガくんには関係ないでしょ! わたるお兄ちゃんのこと、こいつっていうのやめてよ!」
「はぁあ~!?」



