僕の文句を無視し、彼が姿の見えない相手に呼びかける。
一体どういうことだ、と思わず眉をひそめるものの、純はそんな僕の様子に目もくれずドアを開けた。――瞬間、


「『なないろ』へようこそー!」


威勢のいい声が飛び、ひらひらと紙切れ――否、紙吹雪が舞う。傍らでせっせとそれをまき散らしているのが清で、正面には小中学生のサークルメンバー。
あまりにも唐突な歓迎に、立ち尽くす他なかった。


「ほら、早く入れって」

「いや……どういうこと?」

「お前の歓迎会だよ、分かるだろ。うちは誰かが入ってきたらみんなで歓迎会するって決めてんだよ」


背中を押され、部屋の中を見渡す。
ホワイトボードにはご丁寧に「わたるくんようこそ」と大きく記されており、動物やキャラクターの絵が好き勝手並んでいた。壁には折り紙で作成されたであろう輪つなぎが連なっている。

まるで、小学生の頃の誕生日会だ。久しく見ていない光景に懐かしさすら覚えた。


「ありがとうくらい言えよ。みんな随分前から来て準備してたんだからな」


耳元でそんな前置きをして、純は「注目ー!」と声を張る。


「今からこの兄ちゃんが自己紹介してくれるらしいから、ちゃんと聞いてなー」