──『俺、帝区の高校に行こうと思ってんだよね』
それを聞いたのも、帰り道でたまたま一緒になった小学５年生の夏だったと思う。
『帝区って……県外だよね？ 怜悧くんに会えなくなるの？』
『まだ先の話。中学はそんまま地元の公立行くし』
『そうなんだ……。でも、高校になったら離れちゃうってことでしょ。そんなの寂しい……』
『はあ？ じゃあお前も同じ高校来れば』
『えっ。いいの？』
『勝手にどーぞ』
『そんなこと言われたらほんとに行くよ？』
『ああ。勉強がんばりな』
このやり取りだけは鮮明に覚えてる。
ただ──ここから現在までの期間に、大きな誤算となる出来事が重なり……。
ようやく高２の２学期という中途半端な時期での再会に至る──。
