「火事ってまさか、あんたの部屋とは。転校早々、さすがにウケるんだが」
「笑い事じゃないよ……!」
憎まれ口に答えた勢いで顔を上げると、目の前に立つ人と、ばっちり視線がからみ合った。
──────あ。
瞬間、瞳に囚われる。
懐かしい深い黒の瞳に、驚いた様子の私が映ってる。
間違いない、怜悧くんだ。
あ、会えた……。
じわりと目の奥が熱くなって「怜悧くん」と名前を呼びかける。
……けれど。
「転校生ってお前?」
そう言うと、彼は興味なさげに視線を逸らした。
「っ、え、っと……」
「昨日着いたばかりで、荷物は部屋に運びこんでなかったらしいな」
「あ、は、はい」
「他の空き部屋があるか確認してやる。教室で待ってろ」
淡々と事務的に、それだけを告げて背中を向けようとするから。
え……っ、これはどういう?覚えられてる?
覚えられてない?
怜悧くんなんだよね?



