得意分野、は……?
「おーっとあぶない。これ以上話すとルールに触れるね」
「え、いいとこだったのに?」
「いいとこだからこそ。おれたちは秘密主義なの、秘すれば花と言うでしょう」
ね?と不敵に笑う美しさは悪魔のごとく。
瞬きすら忘れて見入った数秒間は永遠にも思え。
その永遠から私を解き放ったのは……。
――ジリリリリリリリリリ!!!!
なんとも障耳りな、ひと昔前の目覚まし時計みたいな音だった。
ええええ、なにっ? なにが起きたの?
教室中に響き渡る、荒々しい非常音に、なんだなんだとクラスメイトたちが騒ぎ出す。
「黒土くん、なにこれ、なんの音?」
すると、ひとりだけ冷静な彼は窓のほうに目を向けた。
「煙の匂いがするね」
「え、そうかな?」