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「るなこ、友達できないのに、男にはそこそこ人気みたいだね?」


――次の日。

いつ制裁を加えられるのかひやひやしたけど、見た感じ、黒土くんは普通だった。



「いや……転校生だからって気を遣ってくれてるだけだよ。黒髪マッシュの人と、茶髪のセンターパートの人には、感謝しかない……」

「うわ、名前くらい覚えてあげなよ」

「うう……」

「その調子じゃ、おれの下の名前もまだ知らないんでしょー? どうせ」


しかめっ面を向けられる。
黒土くんの下の名前……



「あ。それは知ってるよ、アヤトくんでしょ?」

「……、ウン」

相手が頷いたタイミングで予鈴が鳴った。


いっけない、まだ1限目の準備してなかった。
事前にもらった時間割を確認して、急いでカバンから教科書を探した。


一方、気乗りしない顔で隣に座った黒土くんは、ペンケースすら出さないままスマホを触り始める。